父子家庭のメリットデメリットは?父子家庭育ちの娘がリアルな気持ちを語る

ひとり親

母子家庭に比べ、数が少ない父子家庭

ひとり親・片親=母子家庭というイメージや、父子家庭より母子家庭に向けた支援やメッセージが多いですよね。

そのためこの記事は

  • 父子家庭って、数が少なくて肩身が狭いなあ
  • 父子家庭でも良いことってあるのかな?
  • 父子家庭が抱えやすい悩みってなんだろう?

こんな悩みを抱く父子家庭の父親や子どもに向けて書いています。

実は、筆者も父子家庭で育った一人娘です。3歳から一人暮らしを始める20歳までの17年間、父子家庭で育ちました。

アラサーになった現在は、結婚して夫と2人暮らしをしていますが、実家に住む父の一人娘であることは今も変わりません。

正直、父子家庭で育ってきて嫌な思いが全く無かった訳ではありません。それでも、大人になって振り返ると、自分が育った環境に不満や後悔を感じていないのも事実です。

父子家庭の背景には様々な事情があるはずなので、この記事はあくまでも筆者の一例です。そのことを前提に、父子家庭で育った子ども視点の意見を伝えていきます。

筆者家庭の特徴

まず簡単に、私の父子家庭環境の概要を説明します。

生別・死別、父子家庭になる前後の経緯や時期、周囲の環境は人それぞれです。読者様と一致している部分、異なる部分を理解したうえで読み進めてもらえると有難いです。

母とは死別。幼すぎて記憶はほとんどない

3歳の頃に母と死別しました。亡くなった理由は省略しますが、幼いころの出来事なので母に関する記憶はほとんどありません。

父と母と近所の公園で遊んだ記憶?夢?の光景が薄っすら~~とあるだけです。母について知りたいときは、父や祖母の思い出話やアルバム写真が頼りです。

祖母も一緒の3人暮らし

我が家の場合は父子家庭になった後、ほとんどの時間を父・祖母・私の3人で暮らしていました。

厚生労働省の令和3年度のデータによると、親と同居している父子家庭の割合は34.3%、母子家庭の割合は24.2%です。母子家庭より父子家庭の方が、3世代で生活している割合が高いです。

ちなみに、同じデータでは父子家庭になった理由は離婚が69.7%、死別が21.3%という結果。

さく
さく

私は死別かつ祖母と同居していたので、父子家庭の中でも更に少数派ですね、、

少数派で申し訳ないですが、父子家庭で育った娘の一意見として参考になれば嬉しいです。

参考:厚生労働省 令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果の概要

父子家庭で嫌だったこと

可哀そうというレッテルを貼られる

「お母さんいないのに凄いね」「頑張っていて偉いね」など、父子家庭の子=母がいなくて可哀そうな子、という前提でかけられる言葉が辛かったです。

さく
さく

母がいてもいなくても、私は私だ!と思いつつ、何も言えませんでした。

ひとり親家庭あるあるだと思っていますが、会話の中で父子家庭だと打ち明けると「あ、ごめん、、、」と謝られる流れが多いことも苦手でした。

さく
さく

自然な会話の流れでは、「そうなんだね」と受け流してもらえると気が楽でした。

学校行事で母がいないことが目立つ

子どもの頃の記憶の中で、特に印象に残っている出来事です。

授業参観や運動会などの学校行事で、クラスメイトの母親がたくさん見に来る中、私の父(もしくは祖母)が見に来て目立っていることを、私はとても気にしていました。

「お父さんが来てる。誰の?」「あの人(祖母のこと)がお母さん?」など、周りがコソコソ話しているのが聞こえ、「自分の家だけ違う」という感覚に傷ついた記憶があります。

大人にとっては「そんなに気にする必要無いのに」と思うことでも、子どもにとっては重大に感じることもあります。

さく
さく

些細な出来事ですが、私にとっては父子家庭であることを特に意識してしまう出来事でした。

体の成長に伴う悩みを父親に相談しづらい

父子家庭の娘に限定した悩みですが、成長に伴う体の変化や悩みを父に相談できませんでした。私の場合、体の悩みは祖母に相談し、下着や日用品の買い物に付き合ってもらえました。

しかし、祖母の知識は祖母の世代のもの。最近の流行りや情報を家庭内で知る術がありません。当時はファッションやメイク、音楽などの流行情報は、雑誌やテレビを通して必死に学んでいました。

さく
さく

今はネットも大事な頼り先!情報の見極めをしつつ、上手に活用しましょう♪

父子家庭で良かったこと

父とアクティブな経験がたくさんできた

平日は父が仕事で、一緒に過ごす時間はほとんどありませんでしたが、土日は父を独り占め。父と一緒だからこそできる、スポーツやアスレチック、キャンプやスキーなど、アクティブな活動場所にたくさん連れて行ってもらいました。

大きな公園など自然があるところに行く機会が多かったので、車さえあれば金銭的にも優しい遊び場だったんだろうな、と大人になった今では思います。

身近な出来事を父とたくさん話した

日常の人間関係や将来の夢、勉強に関すること、流行りの遊びや芸能人、音楽など、本当にたくさんの出来事を父と共有していました。

この悩みは母と、この相談は父と、のように話す相手を分ける必要が無かったため、異性の親子間でも何でも話せる関係になりました。

周囲の大人から気にかけてもらえる

嫌だったことで「レッテルを貼られる」という内容がありましたが、見方を変えればメリットになります

「父子家庭の娘」というだけで地域の大人から「頑張ってるね」と褒められたり、おさがりの洋服をもらったり、自分の存在を覚えて貰いやすかったりしました。

当時はそれが嫌に感じることもありましたが、人を頼る力を養うために、周囲から気にかけてもらうに越したことはないです。

周囲の多様な家庭環境を受け入れやすい

自分の家庭環境が少数派だったため、母子家庭やステップファミリー、祖父母と暮らしている子などの家庭環境に対して、疑問を抱くことが少なかったです。

さく
さく

「そういう家もあるんだな」と思う程度でした。

「両親揃っている家庭じゃないんだ」というだけで、仲間意識が芽生えた記憶もあります。

子どもを育てる大変さに気づき、更に父に感謝できた

これは大人になってから感じたことです。

私はまだ子育て経験がありませんが、子どもと関わる仕事に就いたことで、子育ての大変さを模擬体験しました。

父は、今の私と変わらない年頃に最愛の人を亡くし、心身共に大変な状況の中で私を育ててくれたんだと思うと、感謝の気持ちが更に高まります。

さく
さく

そんな父を尊敬しています。

父子家庭の父親となる人へ

これから父子家庭になる・なった、身近に父子家庭がいるなど、状況はそれぞれだと思います。ここでは、父子家庭で育った娘より、不安や悩みを抱えるお父さんへ、伝えたいことをまとめました。

子どもは父親に感謝している

親子間の距離が近くなる分、子どもから親への反発も大きいかもしれません。それでも、子どもにとって親は何にも代えられない大切な存在です。

子どもの頃は、親への感謝を実感したり言葉で伝えたりできないかもしれません。私の場合も自分が大人になってから、子育てやお金を稼ぐ大変さを知り、父に対する感謝の気持ちが大きくなりました。

さく
さく

親子間の愛情や感謝する気持ちに自信を持って、子育てしてほしいです。

1人で全てを抱える必要はない

父子家庭は少数派であり、孤独を感じやすいです。父母で子育てするのも大変なので、父子家庭での子育てがもっと大変なのは当たり前

親族や地域、会社や制度を活用して、少しでも楽できる方法を見つけてください。決して一人で全てを抱え込まないでください。子どもは、親の苦労を無意識に感じ取っています。

父子家庭仲間が身近にいなくても、ネットで調べると父子家庭のコミュニティが見つかるかもしれません。同じ父子家庭だからこそ相談し合えること、共感し合えることがあると、それだけで気持ちも楽になります。

申請して制度を活用する

昔は母子家庭に対する支援制度ばかりでしたが、最近は父子家庭も対象範囲内の支援制度も増えてきました。

金銭的な支援の例は以下の通りです。

  • 児童扶養手当
  • 医療費支援制度
  • 住宅手当
  • 自立支援訓練給付金
  • 保育料負担軽減制度
  • 交通費の割引制度
  • 上下水道の減免制度
  • 所得税・住民税の免除・減免制度

一見、受けられる支援が多く見えますが、申請に時間がかかったり、所得制限があったりする制度も多く、父子家庭なら必ず利用できる訳ではありません。

「制度の名前 お住いの市区町村名」で検索し、自分が条件に当てはまるかぜひ調べてみてください。

他にも、以下のような支援事業があります。

ひとり親家庭等日常生活支援事業

修学や疾病などにより家事援助、保育等のサービスが必要となった際に、家庭生活支援員の派遣等を行う。

ひとり親家庭等生活向上事業

ひとり親家庭等が抱える問題の解決に向けた相談、講習会の開催、ひとり親家庭の交流等を行うほか、ひとり親家庭のこどもの生活習慣の習得支援や学習支援等を行う事業

ひとり親家庭等生活向上事業は、多くの自治体で要綱は作られているものの具体的な実施方法は出ておらず、、これから増えるといいですね。

家事支援や保育支援などの人的支援は、親の心と時間の余裕にも繋がります。申請の手間はありますが、もしもの時の選択肢に入れておくと良いでしょう。

参考:こども家庭庁 ひとり親家庭等の支援について厚生労働省 ひとり親家庭等生活向上事業について

父子家庭で育つ子へ

父子家庭で育ち、大人になった今だからこそ分かる気持ちを伝えます。

父親以外にも頼れる大人を見つけよう

父と仲が良くても悪くても、自分が頼りやすいと思える大人を数人確保しておくことが大切です。なぜなら、家庭内に起こる問題や悩みを親子だけで全て解決するのは難しいから。

さく
さく

私の場合は祖母と、話しやすいと思う学校の先生が数名いました。

相談内容によって話す相手を変えてもいいし、数人の大人に同じ内容を相談して、複数の意見を参考にしてもいいです。言い方は若干悪いけど、周囲の大人をどんどん活用していい

決して、全て自分で抱えたり悩んだり、溜め込まないようにして下さい。あなたを見守ってくれる、応援してくれる大人は必ずどこかにいるはず。

分からないことは素直に認めて、教えてもらおう

父子家庭の場合、父母がいる家庭よりも家族や親戚の人数が少ないのは当たり前。その分、見聞きする価値観や経験が減っているかもしれません。

初めて見聞きしたこと、分からないことや無知であることを認め、知らないことを教えてもらいましょう。

さく
さく

正直に「分からない!」「教えて!」と言ってみよう

私は子どもの頃、知らないこと=父子家庭で経験が少なくて恥ずかしいと思ってしまい、つい「知っているふり」をしていました。もっと素直になっていれば、色んな知識を吸収できたんじゃないかな、と少し後悔しています。

家庭について聞かれたら、はぐらかしてもいい

学校や社会で誰かと話していると、家庭に関する話題が出るのは自然なこと。

大体の会話は両親がいる前提で進み、「君のお母さんはどうなの?」「あなたのママもこうだったんじゃない?」と振られる経験、あると思います。

そんな時、毎回「うちは母親がいないので」と説明すると、人によって「あ、ごめん、、」「え、離婚とか?」という反応があり、元の会話が途切れてしまいます。

そのため、会話の相手との関係が薄いとき、家庭環境を話すと面倒な流れになりそうなときなどは、話しをはぐらかして良いんじゃないかと思います。

私の場合

相手「君のお母さんはどうなの?」→ 自分「あ~お父さんはこんな感じだったよ。」
相手「あなたのママもこうだったんじゃない?」→ 自分「うん、うちの親もそうだった。」

という具合ではぐらかしてました。
父の話しばかりだと不自然な気がしたので、「うちの親は」というワード選びが鉄板でした。

まとめ

父子家庭で育った娘の意見をまとめると以下のようになります。

父子家庭で嫌だったこと
  • 可哀そうというレッテルを貼られる
  • 学校行事で母がいないことが目立つ
  • 体の成長に伴う悩みを父親に相談しづらい
父子家庭で良かったこと
  • 父とアクティブな経験がたくさんできた
  • 身近な出来事を父親とたくさん話した
  • 周囲の大人から気にかけてもらえる
  • 周囲の多様な家庭環境を受け入れやすい
  • 子どもを育てる大変さに気づき、更に父に感謝できた

私の意見は、父子家庭に限らずたくさんの家庭環境がある中の、一例にすぎません。

・父子家庭で育つのは嫌なことばかりじゃない、良いこともある!
・父子家庭の親子だけで悩みや問題を抱え込む必要はない!

こんな気持ちが、記事を読んでくれた皆様に少しでも伝わっていたら嬉しいです。
今後は、ひとり親家庭の生活や支援について、他の視点でもまとめていきたいと思っています。

さく
さく

ここまで読んでくれてありがとうございました!

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